違いはデータに。
Widex Moment™ と My Sound の発売以来、私たちは何千人もの実際のユーザーデータを処理するために強力な人工知能を駆使し、何千人ものより良い聞こえをサポートしてきました。これが私たちが学んだことです。
My Sound[マイサウンド]とは何ですか?
マイサウンドは、パワフルでありながら使いやすい、AI を活用したサウンド パーソナライゼーション(※音を個々人向けに最適化すること)と呼ばれるもので、ユーザーが自分に合ったサウンドを得る 2 つの方法を提供します。1つ目は「あなたのためのお勧め(Made for You)」です。これは、補聴器のスマートフォンアプリを通じて、他のユーザーが同じような状況でどのように聴こえたかをベースに、おすすめの音を教えてくれるものです。ユーザーにとっては、これ以上ないほどシンプルで、自分の希望に最も適した状況や聴こえ方を選択するだけで、すぐにお勧めの音を得ることができます。
自分の好みの音に近づけたい場合は、「あなただけの聞こえを作成(Create your Own)」を選択すれば、AI が提案する2種類の音を比較していくだけで、オーダーメイドなサウンド設定に導いてくれます。そして、ここがたいへん興味深いところなのですが、誰かが「あなただけの聞こえを作成」を使用するたびに、その選択から得られた聞こえの状況をシステムにフィードバックし、他のユーザー向けの Made for You の推奨事項が改良され、改善されるからです。 このようにして、ワイデックスの AI は世界中のユーザーがお互いに助け合ってより良く聞こえるようにしています。
選択肢はどのようにしてお勧めに変わるのでしょうか?
マイサウンドのユーザー体験は素早くかつシンプルに選択できますが、その選択肢を推奨事項に変えるために必要なテクノロジーは非常に複雑で、かつ膨大な量のデータを処理する必要があります。しかし、2018年にワイデックスがリアルタイムAIを補聴器に使用する先駆者となって以来、私たちは技術を磨き、その過程で人々がどのように聞くのが好きなのかについて多くの洞察を得てきました。例えば、「あなただけの聞こえを作成」を使用する場合、ユーザーは自分の好みの音にたどり着くために、いくつもの音の比較を行います。最終的な結果はもちろん分析する上で興味深いものですが、その音設定に到達する途中で生成されたデータはより豊富なデータセットを提供し、まさに AI が本格的に取り組むべきものであることに気づきました。
データに隠された洞察を明らかにします。
AIを使用することで、肉眼ではすぐにわからないようなパターンを特定することができます。下の図にあるように、それぞれの点は「あなただけの聞こえを作成」でユーザーの好みで作成された異なるプログラムを表しています。
そこで、AI を使いガウス過程モデリングとミーンシフト法クラスタリングを適用してデータを分析すると、個々の聴取状況に興味深いパターンが見えてきました。
例えば、「食事」の状況をみてみましょう。ここで最も顕著な集団(クラスター・青色)は、中音域と高音域の周波数帯域が下げられている一方、低音域は元のレベルに保たれるか、わずかに調整されるだけです。この集団(ケースの大半(64%)を占める)は、調理器具からの騒音を減らしたい、または高い周波数の全体的なレベルを下げることで、より近くの音源に集中したいことを反映している可能性があります。2 番目に一般的な集団 (オレンジ色、12% を表す) では、おそらく音声の理解が向上するため、高音域は保ったままで、低音域と中音域が強調されています。
もう一つの興味深い例は、「静かな」状況です。ここでは、まったく異なる2つのパターンがほぼ同じ頻度があります。青い集団では、低音域と高音域が上がっていますが、中音域は元に近いか少し高めに保たれており、おそらく周囲をもっと意識したいという希望を示しています。 対照的に、オレンジ色の集団は、3 つの周波数が全体的に下げられていることを示しており、おそらく音量を下げる必要があることを表しています。つまり、2つの異なる種類の「静かさ」があるということです。
個々のユーザーへの最適化には、人間とAIの両方、どちらも不可欠です。
これは、ビッグデータ、パワフルな処理、ユーザーが最終決定を下せる仕組みを組み合わせたマイサウンドのような個々のユーザーへの最適化の必要性を示しています。 このようなツールを使うことで、ユーザーにより良い音を聴いてもらえるという高い確信を持って、ユーザーに選択肢を提供することができるのです。